自身は東京での生活が15年になるが、

元来は生粋の大阪人である。

 

バブル期に船場商人の丁稚として社会にでて、

当時の挨拶といえば「儲かってまっか?」だった。

そして実家は今でも水商売を営んでいる。

 

「水商売」とはよく言ったもので、水を使えば使うほど儲かる仕組みになっている。

コーラよりコーヒー、ビールよりも水割り、

要するに水で薄めるものこそが圧倒的に利益率が良いのである。

小麦粉を水で薄めたもの=通称“粉もん”のたこ焼きもそうだ。

 

「これって、たこ焼きより儲かるのか?」

バカみたいな話しであるが、もはや癖に近い感覚で

何か仕事で新しい商品や取り組みを考えるとき、

決まってこのフレーズが頭をよぎる。

 

この4月に直営店をオープンした時もそうだった。

物件を回りながらも「この場所でたこ焼きをやいた方が儲かるのでは?」と考えていた。

 

BasShuブランドを立ち上げてから今に至るまで

商品に対してのこだわりが深くなればなる程、

結果として売るのが難しいモノをつくっている自覚がある。

モノの深追い=顧客にその価値を理解してもらう難易度が上がる。

とくに卸先などで単に置いてあるだけでは売れないモノばかりを作っている。

もはや専属の販売員が必要か??とさえ思ってしまう。

 

一体この仕事で誰が喜んでくれるのだろうか。

アツアツの美味しいたこ焼きを頬張る子供たちや

人々の笑顔は容易に浮かぶというのに。

 

しかし、それでもたこ焼きはやかないのである。

 

店を訪れる人、オンラインで商品を買ってくれる人、

卸先でブランドを知ってファンになってくれる人。

そういう自分たちの七面倒くさい“こだわり”が理解・共感されていると感じられる瞬間が、

それはもうこの上無い喜びだからである。

 

 

大阪人の性として、たこ焼きとの比較論はこの先も頭を擡げると思う。

しかし、折返しを過ぎた残りの人生、多分たこ焼きをやくことは無いだろう。

 

懲りもせず、面倒で難しいモノを作るのだろうと思う。

 

商人として育ちながら、

モノに魅了された“SUKIMONO”とは

つくづく厄介な人種であると思う。

 

posted by K. Ichikawa