STORY

ニューヨークは摩訶不思議な街で、好きなものを夢中で追いかけていると、
いつの間にかディープなコミュニティに足を踏み入れていたりします。それもごく自然に。

このシリーズをつくるきっかけも、そんな不思議な出会いからでした。

ある人がこっそり教えてくれたマンハッタンの小さなアンティークショップ。
そこで一目惚れしたのが、このシリーズの元となった古い端切れ(ハギレ)でした。

古着のようにラベルもついておらず、いつ作られ、誰がどのように使っていて、
なぜ残っているのか、全くわからない−−−。
それでも、手にした瞬間、その自然でやわらかな風合に
肩の力がふっと抜けていくのを感じました。

手間をかけてつくられた生地には、
ふしぎと人を惹きつける力がある気がします。

そして、その魅力はどれだけ時代が変化しても決して色褪せることはありません。
そんなことに取り憑かれて、私たちはこの仕事をしているのだと思います。

ふつうだけど、普通じゃない、
毎日の暮らしのなかで自然と手が伸びるもの。
そんな魅力のある生地を目指し、糸・染色・織りすべての工程にこだわって播州織でつくりました。

 

風合いへのこだわり

理想の風合いをカタチにすることは、糸を考えることから始まります。

選んだのは昔ながらの製法でゆっくりと紡いだ自然なムラ糸。

一本の糸のなかに太いところと細いところがある不揃いの糸は、
綿花の素朴さをそのまま残し、ヴィンテージ布のような人懐っこい表情を宿します。

そして、糸は洗うほどに空気を含み、しなやかに馴染んでいきます。

風合いにこだわることは、
毎日気兼ねなく洗えて、長く付き合える品質につながるのです。

 

手間をかけること

昔ながらの織機が動くのも、職人たちの技術があってこそ。
とくに手間のかかる播州織には必要不可欠です。

自分たちよりも長生きしている古い織機と毎日向き合いながら、
雨の日には糸のテンションを変え、機音の変化に耳をすましながら微調整を繰り返す。

糸に負担をかけないように丁寧に時間をかけて織り上げた生地には、
暮らしにすっと馴染むあたたかな凹凸が生まれます。

それが、職人たちのプライドの証しです。

 

想いと願い

製品一つひとつに小さな刺繍を入れました。

最後に針をゆっくりと下ろし、控えめに刻んだこのイニシャルは、
モノ作りに一切手間を惜しまないという私たちの想いです。

この生地が10年後、50年後、誰かの愛着をまとい
世界のどこかに存在していたらうれしいなぁという願いを込めて、
Grandad Check(グランダッド・チェック)=おじいちゃんのシャツという名前を付けました。