世界に誇れる、
ウールブランケットができるまで
BasShuが2012年から作り続けるウールブランケット。
2018年から新たに、ブランドのネームタグの横に、
“SUNRISEWOOLEN MILLS“というタグが加えられた。
BasShuのウールブランケットを織リ続ける、
日の出毛織株式会社を表すものだ。
メイド・イン・ジャバンで済ませるのではなく、
日本が誇る毛織工業地である大阪府の泉大津市の一つの機屋の名前が刻まれた。
これにより、誰が作る、いかに特別なものなのかをきちんと伝えたいという、新たな試みだ。
“SUNRISEWOOLEN MILLS“のタグ
BasShuのウールブランケットが完成するまでには、
泉大津周辺の工場とそこにいる職人たちの多くの手がかけられている。
分業制によるものづくりの話は、泉大津からほど近い、
泉佐野という場所にある染色工場で始まる。
泉佐野市の染色工場
ここでまず、ウールの糸を理想の色に染め上げる。
細かなデータを元にラボで配合された染料を、大きな釜に入れ、そこに糸を浸して染色をする。
この工程に至るまでにも、繊細な配慮が必要になる。
まずは“巻き直し”という作業。
これは、糸に均等に染料が行き渡るよう、室内の湿度やウールの個体差を気づかい、工場に届けられた状態の糸を巻き直すこと。
他の天然繊維に比べて、
羊毛は体のどこに生えていたかによって扱いが全く別物で、
それぞれに適した糸の張リ具合を探らなければならない。
巻き直しの作業
職人技によって巻き直された糸は、また同じようにその羊毛ならではの適切な温度や時間に配慮して、大釜の中で染色される。
美しく奥行きのある色合いに染め上げることはもちろん、
それ以上にふんわりと柔らかいウールの質感を保つ術を常に探りながらの作業になる。
この染色と、染色後の乾燥の工程で、
ブランケットの仕上がりの風合いが決まると言っても言い過ぎではないほど、肌触りに大きな影響が出る。
染色のラボ&染色する大釜
そして、SUNRISE WOOLEN MILLS=日の出毛織株式会社の出番だ。
この機屋で、ブランケットは織られていく。
工場の中にある織機は全部で8台。
中でも、BasShuのウールブランケットを織っているのは1 台だけ。
工場の創業当時から使われ続けているその機械は、
50年以上歳を重ねたもので、今は亡きメ ーカ ーによるもの。
日の出毛織の織機
そのため、専門の修理者は既にいなくなってしまい、
交換する部品が新しく手に入れられる場所もない。
いつ止まってもおかしくないその織機は、
壊れた時には機屋の職人自身でどうにか修理するしかない。
しかし、その織機こそが機屋にとっては何よりの財産なのだ。
職人たちは少しの異変も見逃さないよう、
機械が奏でる音に日々耳を傾けて真摯に向き合っている。
日の出毛織の職人たち
職人と深い愛情で結ばれた機械によって織られるジャカードは、1 日に20メートル。
それはブランケットの数にすると、たった10枚相当である。
織機の希少性とその生産量から、
織毛布がいかに価値が高いものかを感じられるはずだ。
その織物は次に、泉大津唯一の起毛工場の手に渡る。
より綺麗に起毛するために、生地は一度水に濡らされる。そして、細かい針がたくさん備えられた機械に織物を通して、ウールを毛羽立たせる。
職人たちが、
その時の湿度や温度、織の具合、
さらには機械のご機嫌にまで配慮して、
機械に付きっきりでローラーに通す回数を見極める。
職人の勘で少しずつ起毛され、
BasShuが理想とする絶妙な肌触リの風合いが作られていく。
そして、丁寧に乾燥させた後に、
ブランケットステッチが施されて仕上げられる。
こんな風にして、それぞれの工程での職人の勘による的確な判断の積み重ねにより、BasShuのウールブランケットは生み出されている。
職人による高い技術と、
機械や品質に対する強い愛、
そんな日本が誇る様々な要素が凝縮された1 枚は、きっと他では手に入らない。
WOOL BLANKET