いいものを作っても、
それが誰かに届くかどうかは
また別の話しだなーと思っていたんですが、
案外届くものなのかもしれない、とも思いはじめた今日この頃。
どっちだよ、って話しをします。
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というのも、ここ最近、
なぜか立て続けにうれしいオーダーがあって、
ロンドンで足繁く通ってた大好きなお店や、
ずっと好きだった老舗ブランドからオーダーが来たり。
買ってくれること以上に、昔はただ好きだー!と、
憧れて見上げていた人たちからコンタクトがあるこの状況が、
一通り歓喜し終えると、
昔の自分が俯瞰でみているような、
不思議な気持ちになっています。
小さくても好きなことを追いかけてたら、
どこかでそうやって繋がるもんなのかなぁと一丁前に人生を思ったり、
いざ、仕事をするとなると「憧れ」がひとつ無くなる寂しさを感じたり。
そんな中、
先日、私たちのブランケットを織ってくれている
泉大津の機屋さんの社長が亡くなりました。
会社自体は、ずっと一緒にやっていた娘さんが継ぐそうです。
毛布作り一筋。わたしたちの商品は、
彼らなしには作ることができません。
糸染め、織り、起毛、縫製、それぞれの仕事が昔ながらの「分業」で成り立っている泉大津の毛布産業。
東京でばかり仕事をしてる私にとっては、
その小さなコミュニティにおいて、会社を経営していくことには、
計り知れない苦労があるのだと知った矢先でした。
亡くなる前、社長の状況も知らずに、
新作のチェックに工場を訪れた日のこと。
二人で車に乗りながら、
「今日もこれから毛布組合の飲み会があるんですー」
という娘さんに(といっても同世代)
「えーー!大変ですね」と眉を狭めて言うと、
「まー、いつもお世話になってるんでね。恩返しです」
とナチュラルに返ってきた笑顔が頭を離れない。
分業制の地場産業を支えているのは、
機械も人も、昔からなにも変わっていないのに、
変わった気になってる自分を恥じた。
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どんなに憧れていた人たちにその品質を認められようと、
実際に作っているのは彼らあってこそだ。
「メイドインジャパン」だけど、「メイドイン泉大津」であり、
「メイドイン日の出毛織株式会社」だから出来る品質。
奇しくも、
そんな気持ちで、今年からラベルを一新したところでした。
BasShuよりもずっと大きく、
「Sunrise Woolen Mills」=日の出毛織株式会社
を刻んだ意味。
だれが、どこで作った、いかに特別なものなのか。
これほど素晴らしい技術をもった産地、工場が日本にはある。
泉大津にはある。
メイドインジャパンじゃない、メイドイン日の出毛織なんだ。
というわたしたちの想いからでした。
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事実、その品質は世界に認められ、
海を越えようとしています。
誇らしく思うと同時に、
結局、メーカーである私たちは、
商品を通して伝えることしかできないんだろうか。
一歩一歩、そうやって届くことが嬉しい反面、
一歩一歩の地道さに空を見上げてしまう。
なんかそんなことを歯痒く、
悔しいような気持ちでぐるぐる考えています。
posted by A. Imoto