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大地 須之内 著12月 17, 2018
ずっと気になっていたこの展示会。 来年の閉館前になんとか行けてよかった。 --- BORO(ボロ)がファッション的に 再評価されている動きは知っていた。 ニューヨークのヴィンテージショップでも、 高価なデニムやミリタリージャケットなどに混ざって、 日本のBOROが置いてあるほどだ。 いや、むしろ私は、日本人であるのに、 そんな側面だけをぼんやり捉えていた だけだったなぁと反省した。 この展示を訪れたのだって、 何かインスピレーションが貰えたらいいな! 程度に思っていたのだ。 が、入ってすぐに、そんな想いは吹っ飛んだ。 来館者はわたし一人、BOROに囲まれた空間。 正直、怖かった。 これまで写真でみていたそれとは 確実に異なる一点一点の迫力。 想像をはるかに超えるズッシリとした重み。 パンフレットには都築響一氏の言葉で、 「農民が生んだテキスタイルの美学」とあったが、 わたしが圧倒されてしまったのは、 ひたすらに暗く漂う「貧しさ」だった。 それがなかなか堪える。 ▲これは、当時実際に使われていた肌着(ふんどし)。 そもそも、ボロとは、 寒さ厳しい東北地方で、農民たちが身を包むものとして 何枚もツギハギを重ねて代々受け継いできたものだ。 そして、ボロという語源の通り、 東北の貧しさを象徴するものでもあったそうだ。 ▲夜寝るときに、包まるようにして使ったトンジャ。何世代にもわたって現存するもの。すべての展示品は触ってOK 寒さを凌ぎたい、 という切実な欲求のみから生まれたその純度。 それが見るほどに苦しくなってくるのだ。 消費とは真逆の時代。 軽い気持ちで来たことを若干後悔しながらも、 なんだか目を背けられなくて、 見終わる頃にはボロもたれしてしまった。 もっと、明るいテンションでおすすめしたかったですが、 思い出しながら書いてても暗くなってしまうという(笑) 故に、ぜひ!!とも勧めにくいが、 頬をパーーーンと打たれたようなショックは 少なからずある展示です。 結局、こういう非日常的な感情こそ、 美術館や博物館に足を運ぶ理由なのではないかと。 誰ともお誘い合わせず、 一人で行くことをおすすめします(笑) posted by A. Imoto