UTILITY CABINETの話

UTILITY CABINETの話

デザインのモチーフにした、フランス陸軍の折りたたみ式キャビネット。   折りたためる・持ち運べるだけでなくて、 「掛ける」スペースを備えていることが 改めてこのキャビネットのすごさだなと思います。     当初はこの製品に感動し、 リプロダクトしたいと試作を重ねましたが 何度やってもピンとくるものにならない....。     そんな中、 そもそもこの本気100%な仏ミルスペックは必要か、 カバーと本体が一体型でなければ不都合? 棚よりも「掛ける」スペースが多いほうが便利じゃないか... ect   と、一歩ひいた時に、やっと完成形がみえてきました。   ---   一体型を捨てて、 カバーと本体を切り離して考える。     本体は、スチールラックの日本メーカー「ルミナス」さんに別注。 (自力開発を諦めるという発想の転換!)   こだわったのは色です。 通常のシルバーではなくて【ブラック】で作ってもらいました。     その道のプロと組んだことで、 棚の耐荷重も圧倒的に改善され、 掛けるスペースも充分。 棚も自由に動かせる。   しかもキャスター付きで、ストッパー機能まで。 (キャスターなしでも使えるようキャップ付きです)     別注【ブラック】なのでギラギラとした反射が少なく、 これ単体で使ってもかなり様になります。     ---   カバーは防水を捨てて、 綿100%で丈夫なリップストップ生地に。   Dカンやテープ、ポケットの配置を考え直し、 ベルトや帽子、サングラスなどの収納に困るものを整理できる仕様にしました。     内側の隠しポケット。 もちろん何を入れるかは自由ですが、 自分だったら...と思いパスポートを想定したサイズにしました(笑)     オリーブに比べると、ぐっと柔らかい印象のベージュ。 “ミリタリー”な存在感もいい意味で抑えられたかなと思います。     現代の暮らしにフィットする部分をより良く設計し直して、そうでない部分を削る。   過去の名プロダクトを 仕立て直して生まれたのが、 BasShuのユーティリティ・キャビネットです。       - 余談と謝辞 -   何度、試作品を作ってもうまくいかず、 「この企画ちょっと無理かも....」と頭を抱えていた苦節2年目、 ジャーナル某ファニチャーのH氏が 何気なくアドバイスしてくれた一言。   「縦長にデザインし直した方が、 すっきりしたバランスになるんじゃないですか? いまの形は鈍臭いから、部屋に置きたくない」   この言葉でバチーンと目が覚めたのを覚えています。   リプロではなく、設計し直す。   当たり前のことなのに、全然見えてなかったんですね。 H氏の一言がなかったら、発売できてなかったかもしれません。   おそらく本人はそんなに覚えてないと思うけど、 実はとても感謝しています。   直接伝えてもきっとクールにかわされるので、ここで伝えてみました(笑)       ちょうど衣替えのシーズンだからでしょうか。...