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大地 須之内 著8月 24, 2018
あんまり置いてるところ自体がないんですが、 古着屋さんに行っても、 マーケットを歩いてても、 とにかく「パッチワークキルト」があると そこだけキラリっと光ったように 自然と目に飛び込んできます。 この感覚、好きなモノがある人には 伝わるんじゃないかと思うんですが、 本当にそうで。 古着屋さんなんて、そもそも洋服売りたいし、 ヴィテージキルトを売る気満々で置いてるところなんて皆無なんです。 それでも、きっと店主の嗜好で、 しれっと棚の上の方に積んであったりして。 それにセンサーが反応する。 --- 理由はバカみたいで、 「好きだから」なんですが、 その理由の奥を掘ると、 わたしはたぶん、 キルトとの原体験が人よりかなり早いから なんじゃないかなと自負しています。 何言ってんだこいつ、と思いますよね。 わかります(笑) “げんたいけん【原体験】: その人の思考が固まる前の経験で、以後の思考形成に大きな影響を与えたもの。 または、記憶の底にいつまでも残り、その人がなんらかの形でこだわり続けることになる幼少期の体験。” わたしの場合、完全に母なんです。 裁縫がとにかく得意で、なかでも、 パッチワークに異常な熱を持っている母。 思い出す姿といえば、 小さな生地のハギレを机にたくさん広げて 父が爆音で映画をみてる横で、 チクチクチクチク縫っているところ。 家中の壁という壁には 自作のタペストリーが掛かってて、 古い着物のハギレや、似たような小花柄の生地も、 パッチワーク関連の本も置き場のないほどそこら中にあって。 そして、我が家みんな、パッチワークを 略して「パッチ」と呼ぶことを当たり前に受け入れてました。 古着屋なんて一つもない田舎に、 パッチ愛がありあまる、家庭環境。 その原体験が、今の仕事をしてから 爆発した。 ----- わたし自身、けっして古着好きではないけど、 その生地・風合い、当時のデザインには興味がある。 だから、古着屋にも行くしマーケットにも行く。 それをやってたら、出会ってしまったんですよね。 ヴィンテージキルトの世界に。 そうなると、もう作りたくて作りたくて。 とはいえ、 「こんな細かいもん誰が作れんねん」 とディレクターから食い気味に言われた通り、実際、 こんな手間のかかるパッチワークなんて国内で受けてくれるところがなくて、 それでも諦めきれずに探してたら、中国の小さな工場が声を上げてくれて。 よし、やるか、とディレクターと二人で 中国まで行ったのがもう4年前。懐かしい。 正直「誰が作れんねん」であり、 「誰が買うねん」でもあったキルト企画。 ここまで持ってます。 モノ好きが結構いたということです(笑) そして、新しい柄をつくりました。 ...