パッチ愛がありあまる

パッチ愛がありあまる

あんまり置いてるところ自体がないんですが、   古着屋さんに行っても、 マーケットを歩いてても、   とにかく「パッチワークキルト」があると そこだけキラリっと光ったように 自然と目に飛び込んできます。     この感覚、好きなモノがある人には 伝わるんじゃないかと思うんですが、 本当にそうで。     古着屋さんなんて、そもそも洋服売りたいし、 ヴィテージキルトを売る気満々で置いてるところなんて皆無なんです。 それでも、きっと店主の嗜好で、 しれっと棚の上の方に積んであったりして。   それにセンサーが反応する。   ---   理由はバカみたいで、 「好きだから」なんですが、   その理由の奥を掘ると、   わたしはたぶん、 キルトとの原体験が人よりかなり早いから なんじゃないかなと自負しています。   何言ってんだこいつ、と思いますよね。   わかります(笑)     “げんたいけん【原体験】: その人の思考が固まる前の経験で、以後の思考形成に大きな影響を与えたもの。 または、記憶の底にいつまでも残り、その人がなんらかの形でこだわり続けることになる幼少期の体験。”   わたしの場合、完全に母なんです。   裁縫がとにかく得意で、なかでも、 パッチワークに異常な熱を持っている母。 思い出す姿といえば、 小さな生地のハギレを机にたくさん広げて 父が爆音で映画をみてる横で、 チクチクチクチク縫っているところ。   家中の壁という壁には 自作のタペストリーが掛かってて、   古い着物のハギレや、似たような小花柄の生地も、 パッチワーク関連の本も置き場のないほどそこら中にあって。   そして、我が家みんな、パッチワークを 略して「パッチ」と呼ぶことを当たり前に受け入れてました。     古着屋なんて一つもない田舎に、 パッチ愛がありあまる、家庭環境。   その原体験が、今の仕事をしてから 爆発した。     -----     わたし自身、けっして古着好きではないけど、 その生地・風合い、当時のデザインには興味がある。 だから、古着屋にも行くしマーケットにも行く。   それをやってたら、出会ってしまったんですよね。 ヴィンテージキルトの世界に。     そうなると、もう作りたくて作りたくて。   とはいえ、 「こんな細かいもん誰が作れんねん」 とディレクターから食い気味に言われた通り、実際、 こんな手間のかかるパッチワークなんて国内で受けてくれるところがなくて、 それでも諦めきれずに探してたら、中国の小さな工場が声を上げてくれて。   よし、やるか、とディレクターと二人で 中国まで行ったのがもう4年前。懐かしい。     正直「誰が作れんねん」であり、 「誰が買うねん」でもあったキルト企画。   ここまで持ってます。 モノ好きが結構いたということです(笑)     そして、新しい柄をつくりました。  ...

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